最悪な過去の蓄積








二人だけでも笑い合えていた。
貴女といるだけで幸せだったのに。
運命とは皮肉なもので、何故もこう幸せを奪うのだろう
拝啓、お母さん。お元気ですか。
私は今、生きています。
貴方を絶望へ追いやった男に復讐をするため、生きています。


命が吹き飛ばされた。
業火に焼かれた筈だった。
貴女も一緒だった。
気付いたら、もういなかった。
独りだった。
たくさんの人の心を分けてもらい、存在することが出来た。
元の私ではなかった。でも命はそこにあった。


貴女の命は無かった。すべて私の所為だったのだ。
死に物狂いの毎日に、私は、何を思ったのだろう。
今は、この傷が、この命が、


すべてを物語る。


貴女と共に過ごした日々は、懐かしく覚えている。
でも、何故自分だけがと思うと、目の前が真っ暗になって、
何故生きているのだと。
後悔もしたりした。
「独り」が多くなった。


隠した この醜い傷が疼きださないように
隠した この愚かな私を守るように


私は逃げていたのだろうか。こんなに弱かったのだろうか。
貴女は守ってくれていたのだろう。
この この私を


貴女は私を愛してくれた。
私も貴女を愛した。
愛し愛された。幸せだった。
幸せでありたかった。 


ずっと ずっと


永遠に続けばいいと思った、しかし、
永遠とは儚いものだった。
只、言葉という形に出来るだけのものだった。






言葉だけで終わった 貴女には届かなかった もういない

存在は確かにあった 私の隣りにいたのだ  もういない

私の行動が招いた  悪夢だったのだ  もういない

一瞬の出来事だった 信じたくなかった   信じるしかなかった














―――――― 認めるしかなかった 事実そうだからだ そして泣いた







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06.05.17